>>>>>

 

<コメント>
作品は自転車の発電機で電気を起こし発光ダイオード(LED)による文字を点灯させ、メッセージを投げかけようというものである。ナーメディ 城周辺の自然を背景に開催されたこの野外展の基本テーマは「エコロジー」であり、他の作家の多くは自然素材を使用することが予測されたので、 ここでは人が手で回して発電することを作品の重要な要素とした。また、できるだけ明確にコンセプトが伝わることを意識して文字による表現を選 択した。
自転車の車輪は5つあり、1つを回すと“KILLING”(殺人)、もう1つが“DEATH”(死)、3つ目が“HELL”(地獄)、4つ目 が“FRONT”(戦場の前線)、最後が“ERR”(誤る)という文字が点灯する。そして、5つ全部同時に回すと“KEEP ROLLING THE EARTH”(地球を回し続けよう)と表示される。つまり、一つひとつの車輪を回したとき(個人または一部の人間だけが勝手に行動したとき)LEDは、地球上で起こってい る惨事に関した単語を点灯する。地球に見立てた全ての車輪をみなが協力して回すとき“KEEP ROLLING THE EARTH”と表示され「世界を戦争や殺戮の無い星にし、いつまでも平和であり続ける」ことを願ったメッセージを発するのである。ただこの“ROLLING”は文法的には 問題があり、本来ならば“TURNING”とすべきところを言葉あわせの都合上“ROLLING”とした。
展覧会場では、ストレートに作品の持つメッセージが理解できる人は少なく、鑑賞者ごとに説明をした。ひとたび意味が分かると“DEATH”と “EARTH”は一字違いであること、英語の“HELL”はドイツ語では「明るい」という意味があり英語と反対のイメージになることなどが話 題となった。そのような昼間のやり取りに中で、作品は微かに発光るだけでその存在はコンセプトの中だけにあったが、あたりが暗くなると様子は 変わった。暗闇の中に激しく輝くLEDにコンセプトなど関係なく車輪を回すことに興じる鑑賞者がそこにはいた。

「keep rolling the earth」

LED, 発電機、車輪、IC等/h300*w1000*d1000cm/2005年

Burg Namedy Kunst im Park 2005 / Germany


作品リストに戻る/次の作品 を見る