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内臓の一部を拡大したような形態の作品はアルミニウムによって鋳造されており、中からかすかに心臓音が 流れ る。それは、自分を始めとし、男性、女性、若者、老人、動物といったものから録音採取したものである。自らの心臓音が作品の中から聞こえ ると、そこには原始的な生命体そのものになった自分が横たわっているようである。動くことも思考することもなく、ひたすら血液を全身 に送 り続ける音だけがするとき、人も動物も植物さえもすべてが等価となり人間とは何かということを改めて考えさせられる。 壁面には、様々な国の出生と死亡のタイミングに合わせ点灯(出生に合わせた赤色)、消灯(死亡に合わせた青色)を繰り返すLED(発光 ダイオード)を使った作品LIFE CLOCKシリーズを配した。ここには尊厳をもった個としての人間ではなく、数値として捉えられる人類が表現されている。そこには国ごとの発光の頻度の歴然とした差を見る ことができ、単に生物学的な寿命とは別の様々な要素が反映されていることが推測できる。 |
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