<コメント>
今年の夏は猛暑でエアコンなしでは過ごせなかったという人が多かったのではないか。先進国のエネル ギー消費が原因の一つともされる近年の世界的な異常気象は、各地に今まで経験したことのない 極端な気温の変化をもたらしている。この対策として冷暖房機器の普及率が伸びる一方、経済的な理由 でそれを持てない人々は、厳しい生活環境に追い込まれている。特に夏の都会では外気ばかりかビルの排気熱にもさらされるといった 理不尽な状況が生じている。

「暑 い人、寒い人」はこの状態をエアコンを使って象徴的に表現したものである。冷媒管を用いて人体を型取り、この機器に依存して暮ら す現代人を視覚化した。会場では2台のエアコンのうち、一方は冷房、もう一方は暖房に設定して同時に強制運転を行う。さらに室外 機も同じ場所に置くことで、それぞれの排出口からも温度差の大きな空気が流れる出ることになり、一つの部屋の中に様々な温度の領 域が生まれる。

壁面の各所には温度計を設置した。この個展開催時点である10月下旬の世界や日本の各地の気温を参照して、それに近い温度となる位置に取り付けている。 ギャ ラリー内の この温度差を体験することで、急務とされる地球温暖化対策や格差社会の過酷な現状に思いをはせてもらうための装置である 。

暑い人寒い人

暑い人:h180×w120 ×d100cm
寒い人:h90×w300 ×d120cm

エアコン、冷媒管、温度計 等 
[アートカゲヤマ ギャラリー ]
2019


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